【水位は上がる?下がる?】ネットで話題になった物理の問題を理論的に解説!


こんにちは、受験サポートです。

この記事ではネット上でちょくちょく話題になるこの問題を解説していきたいと思います。

「あなたが乗っている船からレンガを船外に投げ捨てると、水位は下がりますか、上がりますか?」

この問題はビルゲイツが設立したマイクロソフト社の入社試験で出題された問題です。

実際の面接では直感的に答えを導く必要があるでしょう。
しかし、大学受験的な観点から言えば、直感は必要ありません。
このような問題はそれぞれの変数に自分で文字を置いて、じっくり考えて答えを導くのがベストでしょう。

解説

簡単のため、ここでは船とレンガの形を直方体とします。
また船とレンガの材料は一様とみなします。つまり、密度が一定ということです。

まず、文字を下記のように置きます。
重力加速度:$g$

船の底面積:$S$
船の高さ:$H$
船の密度:$\rho_s$
船の重さ:$M=\rho_s H S$

レンガの底面積:$s$
レンガの高さ:$h$
レンガの密度:$\rho_b$  (レンガ=bricks)
レンガの重さ:$m=\rho_b h s$

海水の密度:$\rho_w$

船が沈んでいる深さ:$L$
レンガが沈んでいる深さ:$l$

次に解答の方針を立てます。

この問題は文章が短すぎてわかりづらいのですが、比較するのは「陸地から見た水面の高さ」です。

そして重要なのが、レンガを入れる前と後で海水の量は変化しないという点。

すなわち、水面より下にある船・レンガの体積=「船もレンガもなかった時の海」よりも増加した海の体積となります。

この体積が大きければ大きいほど海水面が上昇した、と言っていいわけです。

ここでは、水面より下にある船・レンガの体積の合計は$L S+l s$で求められます。
これの前後の値を比べればよいわけです。

ここまで来て、やっと計算が開始できます。

先ほど述べた「水面より下にある船・レンガの体積」は赤枠で囲まれた範囲になります。

1.png

まず、初期の状態(レンガが積んである)では重力と浮力の力のつり合いより、

\begin{eqnarray}Mg+mg &=& \rho_w L S g \\L S &=& \frac{M+m}{\rho_w}\end{eqnarray}

が成り立ちます。
レンガは船の上にあるので、当然レンガが沈んでいる深さ $l$ は0です。

よって、

\begin{eqnarray}L S+l s= \frac{M+m}{\rho_w}\end{eqnarray}

次に、レンガを投げ入れた後の状態を考えます。
ここで注意してほしいのは、レンガが「水面を浮いている」場合と「海底に沈んでいる」場合の2パターンを考える必要がある、ということです。

浮力の問題で、浮き沈みの状態が書かれていない問題では、この場合分けを必ず行ってください!


  • 「水面を浮いている」場合($\rho_b \le \rho_w$)

3.png

重力と浮力の力のつり合いの式を、船・レンガ別々に作ります。
すると、


\begin{eqnarray}Mg &=& \rho_w L S g\\mg &=& \rho_w l s g\\L S+l s &=& \frac{M}{\rho_w}+\frac{m}{\rho_w}\\&=& \frac{M+m}{\rho_w}\end{eqnarray}
が成り立ちます。
この値は初期の状態と同じですから、「海水面は変化しない」ことがわかります。

  • 「海底に沈んでいる」場合($\rho_b \ge \rho_w$)
2.png

船にのみ、重力と浮力の力のつり合いの式を立てます。


\begin{eqnarray}Mg=\rho_w L S g\end{eqnarray}

レンガは全体が沈んでいるのですから、言うまでもなく$l s=h s$となります。
したがって、

\begin{eqnarray}L S+l s= \frac{M}{\rho_w}+\frac{m}{\rho_b}\end{eqnarray}
今、$\rho_b \ge \rho_w$ なのですから

\begin{eqnarray}\frac{m}{\rho_b} \le \frac{m}{\rho_w}\end{eqnarray}
となります。したがって、$L S+l s$ の値は初期の状態よりも低下するので、「海水面は下降する」ことがわかります。

以上のように、場合分けをすると、完璧な答えが導けます。


…が、人によっては「海底に沈んでいる」場合だけを考えてしまったかもしれません。
それはそれで正解です。レンガの密度は
  • 乾燥レンガ:1500~1800 kg/m$^3$
  • 耐火レンガ:1600~2000 kg/m$^3$

と、真水の1.5~2.0倍です。ですからまず間違いなくレンガは海底まで沈むことでしょう。







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